WALL MUSEUM
Photo by Kenji Aoki
Upcycling in the Flow of Mino Washi/めぐる美濃の紙づくり
2025年のホリデイシーズン、松坂屋名古屋店内を彩る装飾には、
美濃の機械抄き和紙の製造現場で生まれる廃棄紙を活用しています。
1300年以上続く美濃の和紙づくりは、
その源流にある手漉きの技と、近現代に発展した機械生産の技術、
二つの営みが重なり合うことで、今日の美濃和紙の産地を形づくってきました。
持続性のあるものづくりが問われるいま、
長く続く産地に蓄積された知恵は
現代に生きる創造性とかけ合わさることで、その手がかりを示してくれます。
ウォールミュージアムでは、“素材の再生”をテーマに、
美濃和紙の産地で活動する手漉き和紙の作り手・アーティストの作品と、
地域に根ざし、美濃の紙を日本中へ届ける企業の取り組みを紹介します。
地場のものづくりとともに歩む松坂屋が、
美濃の和紙がつくる「いま」と「これから」にまなざしを向けます。
2025/11/19(水)→12/25(木)
Photo by Kenji Aoki
- sunaba 望月和也 /ディレクション・デザイン
- 1991年山梨県生まれ。内装設計事務所にてインテリアデザイン、サイングラフィックデザイン業務を経験し、2020年岐阜県美濃市に移住、デザインスタジオsunabaを設立。美濃の手漉き和紙職人や企業と協業し、地域を拠点としたプロジェクトに携わる。ディスプレイやアートワーク制作など空間に留まらず、グラフィック、webまで領域を横断してデザイン活動を展開する。
公式サイトを見る
- 千田 崇統 /美濃手漉き和紙職人、和紙アーティスト
- 美濃和紙の産地で職人として和紙づくりに携わりながら、その技と感性をもとに独自の表現を探求する。楮などの自然素材と向き合い、伝統的な製法を尊重しつつ、新しいかたちの和紙アートや壁面作品を制作。ホテルや商業施設のアートワーク、海外での実演やワークショップなど、活動は多岐にわたる。職人として培った手の感覚と素材への洞察を生かし、自然の声を伝える表現を追い続けている。
公式サイトを見る
- 春木 孝太 /和紙造形作家
- 1996年大阪府生まれ、岐阜県在住。愛知県立芸術大学大学院(デザイン専攻)卒業。多彩なアプローチから和紙の素材としての魅力を掘り下げ、表現の可能性を追求している。主なシリーズに、水切り技法を応用し、一枚の和紙を三次元へ解放する『Toki』、美濃の特有の木槌跡を生かした『叩解の器』などがある。2025年より素材の理解を深めるため美濃手すき和紙職人見習いとしての活動も行う。
公式サイトを見る
- 大福製紙株式会社
- 昭和9年(1934年)、三代目・松久永助が設立した製紙会社。
長良川の豊かで良質な水に恵まれた美濃市で、美濃和紙の技術を応用した機械抄き和紙を手がける。今回のディスプレイ装飾に使用されているマスキングテープ原紙をはじめ、電子部品の絶縁紙からあぶらとり紙まで、幅広い分野で活用される紙を製造している。また、創業のルーツを共にする「松久永助紙店」と連携し、紙糸の原紙製造にも取り組んでいる。
公式サイトを見る
- 松久永助紙店
- 明治9年(1876年)創業の美濃市の和紙卸売店。
創業当初から品質への強いこだわりを貫き、職人から買い付けた紙を厳格に選別して扱っていた。伝統的な手漉き和紙に加え、時代の変化に応じて機械抄きの紙も取り扱うようになり、打ち上げ花火の紙や膏薬(湿布)の基材など、和紙の耐久性や吸収性を活かした多様な用途を広げてきた。近年は、原紙製造を担う大福製紙と連携し、和紙糸を用いた靴下やタオルなどのブランドを展開。また、大福製紙が受託製造する折り鶴の再生紙などのアップサイクル紙を、紙糸・紙布製品へと展開する企画支援や、他ブランドとのコラボレーション企画にも取り組んでいる。
公式サイトを見る
- らんたんや/幅商店
- 岐阜県美濃市「うだつの上がる町並み」の提灯・和照明専門店。美濃の手漉き和紙にこだわり伝統的な工法で提灯を制作している。祭礼・儀式用の伝統的な提灯からインテリア照明まで、注文に応じて幅広く手がける。




